父の従姉に浅草のオペラ歌手がいる。
父よりかなり年上で、明治の女傑にピッタリの
スケールの大きな豪快な人だった。
晩年一人になって我家の近くに越してきたこともあり、
私が大学生の頃よく家に遊びに来ていた。
周囲の人たちとは異なり、いつも着物姿で、お酒は飲む、タバコは吸う、
プールで悠々と泳ぎ、酔っては歌うその美声、
型破りの所も多く、本当に楽しい人だった。
最近ネットに、彼女の記事が多く出ていることを発見した。
その中には「晩年の様子は途中まで分かったのだが・・・」とか、
彼女の家族のこと、子供などについての記述がある。
情報不足なので知りたい、という記述や、誤った内容もある。
読んでいて、
「私こそが彼女の真実をきちんと伝え、後世に残す役割を担っているんだわ」
と考えた。
とはいえ、ネットの記事を書いた方への連絡方法もわからない事が多いし、
危険かもしれない。
芸能関係の知り合いは、彼女を知らない(時代が昔)ので、煩わせたくなかった。
やがて、私の考えも変化してきた。
少しくらい誤った情報があっても、いいじゃない。
「どう暮らしていたのか?どういう晩年だったか?」
なんて、はっきりしなくてもいいんじゃないか。
ということで、「私の役割」を打ち切ることにした。
Youtubeに彼女の歌声が残っていた。
コメント欄に、書き込みもいくつかある。
私もコメントを書いておこうと投稿した。
「遠い親類に当たる者です。彼女はスケールの大きな豪傑で、
明治の女傑と言う言葉にぴったりの人でした。幸せな晩年を送りました」
投稿後に表示された私のコメントを見ると、本名で投稿されていることに気付いた、
他の人のように名前を変えなくては、と思う。
私はYoutubeは見るだけで、自分で発表するなどの経験はない。
大急ぎで調べて名前だけ変えた。
その前に本名で出てしまったコメントを削除した。
本名のコメントを削除するまでに5分もかかっていないと思う。
名前を変えた後、もう一度同じことをコメントする気分にはなれなかった。
で、終了。私のコメントなし。
深夜である。もう寝ようと最後にメールを見たら・・・
知らない人からのメールが入っていた。
「貴重なお話をありがとうございます」
そして「彼女のお墓はどこにあるのかごぞんじですか」という内容だった。
私のコメントの公開時間は5分、記憶違いだとしても、長くて10分以内だ。
メールを頂いた方は、コメントが入ったら自分に自動通知されるように
なっていたのかもしれないが、ちょっと怖くなった。
メールには「返信」という部分あるが、私の投稿は削除してあるので、
どこに表示されるのだろう???
Googleや他のSNSがどうつながっているのか(つながっているのだ)
ちゃんと把握しておかないと、すべて筒抜けだと再認識した。
しばらくは、返事も出さないで無口でいようと思う。
浅草オペラ 記事の人とは関係ありません