秋のおわりが近づいてきたある日、ハリネズミは窓辺にすわり、外を見ていた。
ハリネズミはひとりぼっちだった。訊ねてくるものはだれもいないし、偶然だれかが通りかかり、(ああ、ここにハリネズミが住んでいるんだったっけ)と思ってドアをたたいても、ハリネズミは寝ているか、あまりに長くためらってからドアを開けるものだから、そのだれかは通りすぎてしまっているのだった。
トーン・テレヘン作 「ハリネズミの願い」
オランダでもっとも敬愛される作家による童話の書き出しである。
以前新聞で紹介記事をみて、心に残っていた。
偶然みつけて、昨日読んだ。とても心に残る童話(大人向け)なので、紹介します。
自分の針が大嫌いでほかのどうぶつたちとうまくつきあえない、臆病で孤独なハリネズミが、だれかを家へ招待しようと思いたつ。
「親愛なるどうぶつたちへ
ほくの家にあそびに来るよう、キミたちみんなを招待します。
・・・でも、だれも来なくてもだいじょうぶです・・・」
それから、空想というか、妄想がはじまる。
もしたくさん来たら、入りきれなかったら、クジラがきたらどこに水が、
用意したケーキが足りなかったら、口に合わなかったら・・・・。
空想の中で、演説し続ける動物、家にある物を食べつくす動物、喧嘩する動物、あばれて家をめちゃめちゃに破壊する動物・・・。
ハリネズミは隠れていたベッドの下で目をさまし、想像だったのか、
夢だったのか、とホットして、手紙を戸棚にしまう。
ゾウやキリンから、かえるやかたつむりまで、様々な動物を空想の中でお招きし、
空想の中で散々な目にあうハリネズミ。
臆病で気難しいハリネズミ。
☆メモ☆以下、ネタばれですが、ばれても遜色ないと思います☆
で、もうあきらめたとき、小さくノックをする音が。
「だれ?なんで?」と聞くハリネズミに、
「わからない。ただなんとなく。だれか訊ねてきたらハリネズミが喜ぶかもしれないと思ったんだ」
そこには「ちょっとお邪魔するだけだよ」と、ブナの実のはちみつを手に、リスが立っていた。テーブルに向かい合ってすわった二匹は、多くの言葉は交わさずに、
思いやりを持ちながら、静かな午後を過ごす。
この時間がいつまでも続けばいいのに・・・と思いながら。
やがて冬になり、ハリネズミは眠っていた。
みんなが、招待しないでありがとう、という手紙を書いていた。みんなキミの友だちだし、これからもずっと友だちでい続けるから、訊ねる必要はまったくない、と。
リスだけがちがう内容の手紙を書いていた。
「とっても楽しかったね、ハリネズミ」
そしてその下には「また会おうね!」と。
また会おうね・・・それはハリネズミの知るもっともすてきな言葉だった。
そしてハリネズミは心満ちて冬眠に入ってゆくのでした。
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今年の展示会参加作品
昨年と比べ退化傾向の事実を納得。
好きならいいという怠惰を改め、来年こそ満足できる作品を描きたい。 |
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祝!幸せフィーリング
春・色々なことが前進して、幸せ感がたくさんの今日、
大好きなお赤飯にトライしてみた。
おいしかったが、お赤飯名人の祖母の味からは遠い。
蒸し器を購入するべきだろうな。 |