先週の事。
友人の勧めで「おらおらひとりでいぐも」の作者、
若竹 千佐子さんを紹介するTV番組を見た(Eテレ)。
「おらおら~」は、以前映画で見たが、
どこか奇をてらう演出が見え隠れして、
同じ世代とはいえ、心には残らなかった。
若竹さんは、とても明るくて前向きの素敵な方だった。
最後の場面が心にいつまでも残った。
若竹さんが施設または病院に寝たきりの母親を訪問する場面だ。
記憶は定かではないが、口または鼻に管を通して目をつぶっている。
お別れの時、若竹さんが岩手弁で言う。
「おら、これから仕事に行ってグルから」
トロンと寝た風情の母上は、その言葉を聞くとぱっと目を開け、
らんらんと輝く瞳で娘を見返し、はっきりした声で娘に言う。
「いげ!」
娘が仕事に行く。おらのことなどかまわずに行け!
前に進んでいぎろ!
私は母からの声を聞いたような気がした。涙が出た。
母は私が仕事を辞めて、家に戻ることに大反対だった。
気持ちはよくわかったが、私には他の方法が考え付かなかったし、
(古い世代なので)この先仕事で得られる価値よりも、
母が人生の最後を安心して過ごし、私も母と過ごす方がずっと大切だった。
女一匹、いざとなればどうとでも生きられる、と思った。
多くの葛藤と亀裂もあったが、時を経た今、これでよかったと思い、
家族に感謝している。
娘を思う母の気持ちは、変わらない。
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夏もやっと終わったかしら? |
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