64年の時を超えて、子供時代のうっすらとした記憶の物体が、
大好きだった大きな物体が、目の前に横たわっていた!
それは、昔この町を走っていた路面電車だ。
チンチン電車という愛称で呼ばれていた。
(だれもその名詞をヘンとは思わなかった!)
電車が発車するとき車掌さんが上から下がっている紐をひくと、
引かれた紐が天井を伝わってベルを揺らし
「チンチン」と鳴るのだ♬
この町の中心地を走っていて、私たち子供は親に連れられて乗っていた。
高い乗車階段を引っ張り上げられて登り、お金を払う、チンチンと出発だ。
いつも満員だった気がする。
この電車と数年前に亡くなった像のうめこさんは、子供時代の大きな思い出だ。
65年前にこの地での仕事を終え、長崎で利用されることになった。
長崎で64年間も走り、お役目が終わり、多くの人の協力によって、
生まれ故郷のこの地に帰還したのだ。
今月のスケッチの会の集合場所は、その電車が展示してある広場だった。
私はよく通るのだが、多忙につき横に見ながら通過していた。
今日はゆっくり再会しよう!
高い乗車階段を、今では膝痛の私が「やっこらしょ」と登る。
運転席の上の紐を引っ張ってみる。
チンチン
鳴った!
「母ちゃんとよくのったなあ」
元男の子は、子供時代の言葉に戻りはしゃいだ声で叫んでいる。
座席に座ったり、運転装置に触ったり、子供時代にかえって楽しんだ。
電車は思っていたよりもがっちりと大きく、広々としていた。
本物って思った。
こんなに広かったのね |
おかえりなさい |
電車で遊んだ後、スケッチに行きました |
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