昼下がりの路地裏、私が歩いてゆく先に、華やかな服装の高齢者が立っていて、
私の方を見ている。誰だか確かめようと、盛んにこちらを見ている。
私も、知っている人かもしれないと目を凝らす。
双方とも、大きなマスクと帽子姿で、簡単には分からない。
近くまできて、お互い知らない人同士だと分かった。
その人(紫さんということにする)は、とても話し好きで
しかも話がなかなか面白い。
素直な私は、時々返事をしながら拝聴することになった。暇だったし。
小一時間の立ち話、私はこの近辺のお店(おでんやさんやはなやさん、
水商売屋さんなどで、私の個人的な知り合いあいはない)
の裏話や男女関係、諸履歴裏事情を知った。
噂話や世間話をする機会のない私だが、なかなか楽しいものだと思った。
お話が上手だ。
紫さんは最近やっと体もよくなり、外に出られるようになったとのこと。
ちょっと、遠方に住む方だった。
認知症の夫を抱えていて大変だ、一人になる日を夢見ている、とのこと。
世間話のあと、「心が充実した高齢者生活」を送るには?という
私の質問に答えて、たくさんの素晴らしいお話をしてくれた。
泉のように湧き出る話は、普通の人とはいえないような。
何か入信を勧められたら、どうしよう!
などと、密かに考える。
最もと思う、深く暖かく、理性的なお話が多かったが、
塩をラップに包んで布団に入れて眠ると、災いはすべて塩が吸収してくれる、
というものもあった!
お互い名前などは明かさずに別れた。
春先の暖かい陽光の下。
誰かと話して色々伝えたいと思っている、経験豊かな年齢の紫さんとの立ち話。
帰宅して気が付いた。
私はどこかすご~~く元気になっていた。
肩に乗っていた、重さのようなものが落ちたような!
何なんでしょう。
あの人には何か力があるのかもしれない。
お塩をラップに包んで寝ました、フフフ。
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春の亀 三重奏 |
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