2022年7月16日土曜日

精霊流し

 今日は精霊流しの日。

昔の精霊流しは、お盆のお供えものを海に流した。

今は砂浜に大きな穴を掘って、そこで燃やすのだ。

穴の周りには、お供えの花やお線香がたてられる。

どのような形にせよ、現在精霊流しの行事を行うのは、私の地区だけだ。

町内の役員たちは数日前から広く深い穴をほり、

大きな看板を市内の広範囲に立てている。

他の地区の人達も、徒歩、自転車、車などでお供え物を持ってやってくる。

「すごい!今でもやっているのね。私の家ではごみ箱に捨ててるわ」

この地区で育ち、今は近郊に移住した友人が驚いていた。


朝雨戸を開けると、海の方から煙の匂いが漂ってきた。

町に流れる煙は、亡くなった人々を偲んでいる気がする。

私もお供え物を紙袋に入れ、お線香代とお賽銭を持って出かけた。

もう9時を過ぎていた。開催時間は朝6時から10時までだ。

いつもはもっと早く行くのだが、突然大雨になったり、やんだり、

天候の変化が激しく遅くなった。

浜辺は家のすぐ近くである。

いつもはあまり人もいないのだが、多くの人々が行きかってにぎやかだ。

町内の役員から青年団まで総出で、人々を誘導し、ヘルプしている。

立ち上る煙が海へ流れ空に登り、御霊があの世へ帰って行くようだ。

お線香をたて見送り、祈った。


帰り道、町内を歩きながら思う。

この角の電気屋さんの奧さんは一か月ほど前に亡くなられた。新盆だわ。

あそこの医者も、知らない間に亡くなっていた。

あそこの人は家を畳んでどこか施設に移った。

この3階建のビルに住んでいたご夫婦は、奥様がなくなり、建物を売りに出して

近くのマンションに住む従兄家族と同居した。

でも、この建物はまだ売れていないな。


町の表面は変わらないが、住民たちはゆっくりしかし確実に

入れ替わり変化していることに、今更ながら驚いた。

私が亡くなっても、何十年たっても、何百年たっても、

江戸時代からのこの道路は、遠くの山並みは、

こんな感じで続いていくんだろう、と思った。

精霊流しの煙が、私を包んでいた。


遅い時間&天候のせいで、
いつもより小規模な炎















海は雨雲に覆われていた







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