1月5日にちょっと書いたアガサ・クリスティの作品。
読み終わり、再度読み始める(私には珍しい事だ)。
テンポも語り口もどちらかというとだるいのに、なぜこうも惹かれるのだろう。
再読1/5あたりで、はっと気が付いた。
いやいや、最初から心の奥底で気が付いていたのだ。
これは、ある部分私のことのようだ、と。
そして、同じように感じる人も多いだろう。
優れた作品が皆そうであるように。
自分は正しい事をしている、愛する人のために、仕事のために、
家族のために、と尽くすほどに相手を追い詰め、
しかも自分はそれに気付かずに正義感の元、押し付けてゆく。
双方にとって悲劇である。
誰もが少しは経験することだと思う。
クリスティは、ゆっくりと小さな伏線をたてながら、
徐々に主人公に気付かせ、追い込んでいく。
今迄非の打ちどころもなく、家庭の中心にいたつもりの自分が、
実は家庭の災いの源であったことに。
大変怖い「殺人事件」以上の作品だと思った。
終わり方も、人生経験豊かで人間らしい。
自分のある部分について、色々考えさせられる小説だった。
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