知らない女性が、突然声をかけてきた。
「え? スカーフです」
「遠くからみると、レイのようにみえるのよ。 きれいだわ」
「服の色が地味なので、アクセントにしているの」
私は、黒いパンタロンに、たっぷりした黒いニットのブラウスを着て、黒いベルトをしていた。
春なのに黒々しいので、濃淡のピンク系の透けたロングスカーフを首にかけていたのだ。
知らない人に服装のことを言われるのは、好まないけれど、
笑顔で手を振って去っていく女性の後姿を見て、心の中に小さな花が咲いた。
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| 色の祭典 |
深夜、突然ビートルズの曲が聞こえてきた。 身体の周りに、ロンドンのあの街、あの通りが襲ってきた! 雑踏の音、笑い声、匂いまでする。 「去年ね、この前の通りを、ポールが通ったのよ! 授業中だったけれど、皆で飛び出して見に行ったわ」と、 先生の弾んだ声。 私が軽く英語学校へ行きながら...
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